サイバー犯罪の検挙件数の推移


インターネット社会にとってパソコンやスマートフォンが生活や社会活動に不可欠な存在として定着しています。
サイバー犯罪が多発しているなかで、世界規模でサイバー空間における脅威は深刻な状況にあります。
平成 25 26 27 28 29
不正アクセス禁止法違反 980 364 373 502 648
コンピュータ
電磁的記録対象犯罪等
478 192 240 374 355
▼ネットワーク利用犯罪
児童ポルノ
(児童買春・児童ポルノ禁止法違反)
1,124 1,248 1,295 1,368 1,432
詐欺 956 1,133 951 828 1,084
(うちオークション利用詐欺) 158 381 511 208 212
青少年保護育成条例違反 690 657 693 616 858
児童買春
(児童買春・児童ポルノ禁止法違反)
492 493 586 634 793
わいせつ物頒布等 781 840 835 819 769
著作権法違反 731 824 593 586 398
脅迫 189 313 398 387 376
ストーカー規制法違反 113 179 226 267 323
商標法違反 197 308 304 298 302
名誉棄損 122 148 192 215 223
その他 1,260 1,206 1,410 1,430 1,453
計(件) 6,655 7,349 7,483 7,448 8,011
合計(件) 8,113 7,905 8,096 8,324 9,014
※平成30年4月現在

サイバー犯罪条約の経緯と意義及び義務


【1】 サイバー犯罪条約の成立経緯と概要

  1. 情報技術分野の急速な発達、コンピュータ・ネットワークの発展によって、世界中で電子メールの幅広い利用、インターネットを通じた各種サイトへのアクセス、電子商取引等が可能となった。
    このような情報技術の発展は、社会の一層の発展のための大いなる可能性を秘めているが、一方で、コンピュータ・システムを攻撃するような犯罪及びコンピュータ・システムを利用して行われる犯罪(いわゆるサイバー犯罪)が出現するようになった。

  2. サイバー犯罪は、犯罪行為の結果が国境を越えて広範な影響を及ぼし得るという特質を備えていることから、その防止及び抑制のために国際的に協調して有効な手段をとる必要性が高く、 そのために法的拘束力のある国際文書の作成が必要であるとの認識が欧州評議会において共有されるようになった。

  3. このような状況の下、欧州評議会において、サイバー犯罪を取り扱う専門家会合が設置され、平成9年(1997年)以降、同会合においてこの条約の作成作業が行われてきた。
    その結果、平成13年(2001年)9月に行われた欧州評議会閣僚委員会代理会合においてこの条約の案文について合意が成立し、同年11月8日に行われた欧州評議会閣僚委員会会合において正式に採択された。

  4. この条約の署名式典は、平成13年(2001年)11月23日にハンガリーのブダペストにおいて開催され、我が国はこの条約に署名。

【2】 条約締結の意義

この条約は、サイバー犯罪から社会を保護することを目的として、コンピュータ・システムに対する違法なアクセス等一定の行為の犯罪化
コンピュータ・データの迅速な保全等に係る刑事手続の整備、犯罪人引渡し等に関する国際協力等につき規定するものである。
我が国がこの条約を締結することは、サイバー犯罪に効果的に対処するための国際的な取組に寄与するとの見地から有意義であると認められる。

【3】 条約の締結により我が国が負う事となる主要な義務

  1. コンピュータ・システムに対する違法なアクセス、コンピュータ・データの違法な傍受、コンピュータ・ウィルスの製造
    児童ポルノのコンピュータ・システムを通じた頒布等一定の行為を犯罪として定め、その犯罪についての裁判権を設定すること。

  2. 自国の権限のある当局が、蔵置されたコンピュータ・データの迅速な保全、捜索及び押収並びに提出命令
    通信記録のリアルタイム収集並びに通信内容の傍受を行うことが可能となるよう、必要な立法その他の措置をとること。

  3. コンピュータに関連する一定の刑事手続、犯罪人引渡し等において国際協力を促進すること。

この条約の締結により、従来からIT戦略を推進し、情報セキュリティ対策への取組体制を整備するとともに、急増するサイバー犯罪に国際的に対処すべく
この条約の作成作業に積極的に参加してきた。
深刻化するサイバー犯罪に対する国際的な取組に貢献するためには、我が国がこの条約を締結し、その効果的な実施のために引き続き主導的な役割を果たすことが望ましい。

サイバー犯罪に関する条約の内容


  1. 条約の定義(第1条)
    「コンピュータ・システム」「コンピュータ・データ」「サービス・プロバイダ」及び「通信記録」の定義についてそれぞれ規定している。

  2. 違法なアクセス及び違法な傍受(第2条及び第3条)
    締約国は、コンピュータ・システムに対するアクセス(第二条)及びコンピュータ・データの非公開送信に対する技術的手段によ る傍受(第三条)が、権限なしに故意に行われることを自国の国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。締約国 は、これらの犯罪化に当たり、それぞれの規定に定める追加的な要件を課することができる。

  3. データの妨害及びシステムの妨害(第4条及び第5条)
    締約国は、コンピュータ・データの破損、削除、劣化、改ざん又は隠ぺいが権限なしに故意に行われること(第4条)及びコンピュータ・データの入力、 送信、破損、削除、劣化、改ざん又は隠ぺいによりコンピュータ・システムの機能に対する重大な妨害が権限なしに故意に行われること(第5条)を自国の国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。

  4. 装置の濫用(第6条)
    締約国は、権限なしに故意に行われる次の行為を自国の国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。

  5. コンピュータに関連する偽造及び詐欺(第7条及び第8条)
    締約国は、コンピュータ・データの入力、改ざん、削除又は隠ぺいにより、真正でないコンピュータ・データを生じさせる行為 が、権限なしに故意に行われること(第七条)及びコンピュータ・データの入力、改ざん、削除若しくは隠ぺい又はコンピュータ・ システムの機能に対する妨害が、詐欺的な又は不正な意図をもって、権限なしに故意に行われ、他人に対し財産上の損害が加えられ ること(第8条)を自国の国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。

  6. 児童ポルノに関連する犯罪(第9条)
    締約国は、コンピュータ・システムに関連して権限なしに故意に行われる児童ポルノの製造、提供の申出又は利用可能化、 頒布又は送信、自己又は他人のための取得及び保有を自国の国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる

  7. 著作権及び関連する権利の侵害に関連する犯罪(第10条)
    締約国は、著作権及び著作隣接権の侵害が故意に、商業的規模で、かつ、コンピュータ・システムによって行われることを自国の 国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。

  8. 未遂及びほう助又は教唆(第11条)
    締約国は、第二条から第十条までの規定に従って定められる犯罪が行われることを意図して故意にこれらの犯罪の実行をほう助し 又は教唆すること並びに第三条から第五条まで、第七条及び第八条並びに第九条の一部の規定に従って定められる犯罪であって故意 に行われるものの未遂を自国の国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
    締約国は、このような未遂を犯罪とする事については、その全部又は一部を適用しない権利を留保する事ができる
出典:外務省