日本の統治機構

検察庁と刑事手続の案内

捜査 都道府県警察
事件や犯罪の発生時には警察が捜査・逮捕を行います。

【 逮捕の種類 】
通常逮捕
緊急逮捕
現行犯逮捕

被疑者(犯人、容疑者)を逮捕したり、証拠収集や取調べ等を行うのが警察になります。
警察は、被疑者を逮捕時から48時間以内に、被疑者と事件記録を検察官に送致しなければなりません。
検察官
検察庁では、警察から送致された事件について検察官が自ら被疑者・参考人の取調べを行います。
証拠の不十分な点については、警察を指揮して補充捜査を依頼する場合や、 自らが捜査を行い収集された証拠の内容を十分に検討します。
最終的に被疑者について裁判所に公訴を提起するか否かの処分を決定します。
被疑者を起訴するか、否かを決定するのは公訴の主宰者である検察官の権限になります。
不起訴 起訴
略式請求
公判請求
公判 略式命令
公判
判決
裁判後 有罪判決の場合

刑の執行
仮釈放・満期出所等

【 検察庁と警察の仕組み情報 】

検察庁と裁判所
検察庁は、各裁判所に対応して置かれています。

【 最高検察庁 】東京都千代田区霞が関
【 高等検察庁 】東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松
【 地方検察庁 】都道府県庁所在地、函館、旭川、釧路
【 区検察庁 】全国主要市区町村

検察官は、いずれかの検察庁に所属しています。
検察庁では検察事務官が検察官を補佐して仕事を行っています。

社会の利益を守る代表者として、捜査や裁判を通じて事件の真相を明らかにし、犯人が適切に罰せられるよう社会正義の実現を目指しています。

起訴した事件について公判で立証し、裁判所に適正な裁判を求めたり、裁判の執行を指揮監督するのも検察官の重要な仕事です。

最高検察庁 高等検察庁 地方検察庁 区検察庁
最高裁判所 高等裁判所 地方裁判所
家庭裁判所
簡易裁判所
検事総長 検事総長
(検事総長秘書官)
次長検事 次長検事
検事長 検事長
検事正 検事正
次席検事 次席検事 次席検事
検事 検事 検事 検事 検事
副検事 副検事
検察官の種類 検察官は、検事総長、次長検事、検事長、検事及び副検事に区分されます。

・検事総長
・次長検事
・検事長
内閣が任免し、天皇が認証する事になっています。

地方検察庁には、検事の中から任命される検事正が置かれています。
検事総長 最高検察庁の長として庁務を掌理
かつ全ての検察庁の職員を指揮監督。
次長検事 最高検察庁に属し、検事総長を補佐
検事総長に事故のある時、又は検事総長が欠けた時はその職務を行います。
検事長 高等検察庁の長として庁務を掌理
かつその庁並びにその庁の対応する裁判所の管轄区域内にある地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督。
検事正 地方検察庁の長の検察官として、その地方検察庁の庁務を掌理
かつその庁及びその庁の対応する裁判所の管轄区域内にある区検察庁の職員を指揮監督。
検事 検事は、最高検察庁・高等検察庁及び地方検察庁などに配置
捜査・公判及び裁判の執行の指揮監督。
副検事 副検事は、区検察庁に配置され、捜査・公判及び裁判の執行の指揮監督。
警察(捜査)と検察の職務と役目
事件や犯罪の発生により警察が捜査を行って、犯人を検挙して事件を検察庁に送致します。
検察官は、被害者や目撃者の方から事情を聞いたり、被疑者捜査の対象とされている者を取り調べる等の捜査を行った上で、 事件を起訴するか不起訴にするかを決めています。
少年による犯罪については処分の意見を付して事件を家庭裁判所に送ります。
検察官の事件処理内容
【 起訴処分 】
法廷で裁判が開かれる公判請求と、裁判が開かれず書類審査で刑や罰金などが言い渡される略式命令請求があります。

【 不起訴処分 】

※ 嫌疑不十分
犯罪を立証する証拠が不十分な場合に適用されます。
法務省訓令の「事件事務規定」に定められた不起訴の判断になります。

※ 起訴猶予
証拠が十分でも犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重
情状(犯行の動機、犯人の反省など処分を決める上で参考となる事実)等を考慮して起訴を必要としない場合
検察官の裁量により公訴を提起しない場合

※ 心神喪失
犯人が精神上の障害により是非善悪を判断できない等により、責任能力が認められない場合等があります。
裁判の内容
検察官は、公判請求した事件の裁判に立ち会い、裁判所に証拠の取調べを請求したり、 証人尋問を行ったりして被告人(起訴された者)が犯罪を行った事を証明します。
検察官は、証拠調べの終了後、被告人に科すべき刑罰について意見を述べます。
裁判所は、検察官の意見(論告・求刑)、弁護人の意見(弁論)などを検討し判決を宣告します。
言い渡される刑には、懲役刑や禁錮刑などがあります。
検察官は、事件の内容によっては刑の執行を猶予する場合があり、裁判所の判決の事実認定や量刑が不当であると考える時は上訴する事もあります。
裁判員制度
重大な犯罪(殺人罪、強盗致死傷罪、強姦致死傷罪、危険運転致死罪など)について、 選挙権のある一般の国民から選ばれた裁判員の方に、地方裁判所で行われる刑事裁判に参加してもらい、 裁判官と一緒に被告人が有罪か無罪か、有罪の場合どのような刑にするのかを決める制度です。
裁判員裁判では、検察官は、一般の国民から選ばれる裁判員が審理の内容を十分に理解し、 容易に心証を形成できるよう分かりやすく迅速で的確な立証に努めています。
検察官は、裁判関係者と連絡・協力して被害者の方の知人等、関係者が裁判員に選任される事がないよう配慮しています。

【 検察庁の機構図 】

出典:内閣官房
出典:法務省
出典:検察庁
出典:検察庁法